ページ

2013年5月5日日曜日

日本市場でも電子書籍の価格競争が激化へ


このGWについにAmazonのKindleでは大々的な値下げセールが行われた。

なんと数千タイトルもの作品を50%ポイントバックや99円として、これまでの電子書籍業界にはなかった大幅な値下げセールが行われている。(これまでは数十冊程度だった)




これはさすがに驚いた。

日本市場はこれまでも電子書籍は定価よりやや安いという認識あったが、それでも出版社によっては通常の定価と価格が変わらないという状況であり、そこまでお得感はなかった。BookLiveのようなストアでポイント制度を活用すれば安く購入できたが。

Amazonは世界の国の一部ではKoboに先行され、追いつけない国もあり、市場規模の大きい日本市場ではなんとしても先行したいところ。

今後Amazonは短期的な損失を覚悟してでもシェアを取りにいくだろう。

電子書籍を利用する消費者には喜ばしいことだが、今後価格競争が激化し、どんどん価格は安くなっていくだろう。

これはKindleやKoboのようなストアが競争することによって低価格化が進むし、出版社も衰退の進む出版市場でなんとか売上を伸ばすために電子書籍の価格を下げてでも、販売部数を伸ばすという戦略をとっているゴマブックスのような会社も今後増えていくだろう。

それによってどんどん価格の低下は進む。

実際にアメリカの電子書籍市場はここ数年で平均価格の低下が進んだ。


最大12ドル水準から現在は8ドル水準まで33%も価格が低下している。

価格が下がれば、日本の電子書籍市場もさらに盛り上がっていくだろう。

ただ価格競争に入るとストア運営側も体力勝負になるので、中小ストアは淘汰されていく。

凸版印刷グループのBookLiveが早速88円セールを開始したのはKindleを意識してのことだろうが、その他ストアが今後追随に動くがどうか見ものだ。


価格が下がっても販売部数が伸び、全体的な出版市場が伸びれば良いが、仮に価格が30%下がったとして、その分30%販売部数が伸びるかどうか。

価格が下がっても、販売部数が伸びなければ出版社はますます厳しくなるし、著者も収入が下がるかもしれない。

ただし著者はKDPのように出版社を通さない流通モデルが広がるので、価格が下がってもマージンを削減するという努力ができるかもしれない。

編集の問題があるが、今後著者個人の編集・電子書籍流通を安価(低マージン)でサポートする業者が増えていくだろう。もちろん自分で編集・流通まで完結させる著者もそこそこ増えるとは思う。

いろいろな可能性を秘めている電子書籍。

Kindleの参入からようやく半年が経とうとしているが、出版業界・IT業界の構造が大幅に変わっていきそうだ。